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歯を抜かない
「歯髄保存療法」とは
歯髄温存療法(Vital Pulp Therapy)とは、これまでは神経を取る(抜髄)必要があった場合でも、できる限り歯の神経(歯髄)を残す治療法です。
以前は失敗することが多かったので、積極的には実施されてきませんでしたが、最近はMTA(Mineral Trioxide Aggregate)とマイクロスコープを使うことで、成功しやすくなりました。
歯髄保存療法の
種類は大きく4つ
間接覆髄法
(Indirect Pulp Capping)
大きな虫歯(歯髄近くまで達しており、神経に届きそうな深さのカリエス)がある歯の歯髄を、良好な状態で残すために実施する治療です。歯髄を除去しなくても治る状態(可逆性歯髄炎)や歯髄に異常がない場合に行われます。
直接覆髄法
(Direct Pulp Capping)
直接覆髄法は、歯を整えている最中に神経が出てしまう露髄や、歯が折れるなどの外傷によって神経が出てしまう露髄、虫歯の治療中に神経が出てしまう露髄などに対して、歯髄を良好な状態で残すための治療法です。歯髄の炎症のレベルによって治療が成功するかが決まるため、損傷が歯髄に達していない場合に行います。
部分断髄法
(Partial Pulptomy)
外傷や虫歯(カリエス)によって損傷した部分の歯髄だけを除去し、良好な状態の歯髄を残す治療です。歯髄保存療法の中で、一番多く行われる治療法です。
全部断髄法
(Full Pulptomy)
歯肉の上にある歯質部分(歯冠部)の歯髄を根管の入口まで全部除去し、良好な状態の歯根部歯髄を残す治療法です。
歯髄保存療法の痛みは
どれくらい?
治療中の痛み
機具を使う際に多少の違和感はありますが、きちんと局所麻酔を行うため、痛みを感じません。また、症状次第では麻酔をしないこともあります。
治療後の痛み
治療で直接神経に触れた場合、治療後約8週間もの間、一時的に痛みが現れたり、冷たいものがしみたりする場合もあります。
約3ヶ月間で、組織が元通りになっていき、痛みも緩和していきます。時間をかけて経過を見ましょう。その間に強い痛みが現れた場合は、神経を取り除く治療(抜髄)を行います。
歯髄保存療法の成功率
施術を行う医師の技術力や診断の正確さにより、歯髄保存療法の直接覆髄が成功する確率は約33~100%までと幅が広いです。また、治療の成功確率を上げるには、ラバーダムやマイクロスコープを使用する、歯髄保存療法の後に詰め物をしっかり入れること重要です。治療環境が整った歯科医院で的確な治療を受けることで、90%ほどの確率で成功すると考えられています。
歯髄保存療法の
メリット・デメリット
メリット
歯髄保存療法は、以下のようなことを希望される患者様にお勧めです。
- 神経を残したい方
- 歯を抜きたくない方
- 歯をできる限り削りたくない方
生きた神経を残すことで歯の寿命は長くなります。
根管治療では全ての神経を抜きますが、それと比較すると歯を削る量が少なくなるため、歯の損傷を最低限に抑えられます。
治療の後も、良好な状態で「生きている歯」として残せます。
歯を残すために神経を温存する治療が歯髄保存療法です。
デメリット
一回の治療時間が長い
治療時間の長さがこの治療の短所ですが、逆に言えば治療回数が減り、長い目で見ると治療期間が短縮されます。
これは根管治療の成功率に関わります。
成功率は100%ではない(おおよそ90~95%程度)
この世の全ての治療に言えることですが、歯髄温存療法(VPT治療)は必ず成功するとは限りません。
専門家としてできる限りの努力をいたしますが、成功確率は約90~95%になります。
熟練した医師が歯髄温存療法(VPT治療)を施術して治療自体は上手くいっても、手術前に歯髄が受けた損傷が原因で失敗する場合があります。
患者様や医師の技術に問題があるのではなく、細菌が原因です。
歯科医院の多くが抜髄(神経を取る)治療を選択するのはこれが理由です。
自由診療なので費用がかかる
自由診療の費用が高くなる原因は、いくつか挙げられます。
保険診療にはお薬の使用方法にルールがありますが、何十年も前から内容が変わっておらず、医学の進歩に追いついていません。歯科医師の多くは、本心では歯髄を温存したいと考えても、保険診療の範疇では治療が難しく、技術力が求められる歯髄温存療法(VPT治療)は難易度が上がるため、結果的に抜髄(神経を取る)治療を実施しています。
また、患者様に最適なお薬を使ってより良い治療をするためには、価格が高いお薬や機材が必要です。これらの理由で、歯髄温存療法(VPT治療)は自費診療となります。
費用
保険適用外です
歯髄温存療法は、保険が適用されないため自由診療です。
費用は治療法によって変わりますが、歯1本あたり3~8万円が目安です。
さらに、被せ物や詰め物の費用が加算されます。
項目 | 詳細・時間 | 料金(税込) |
---|---|---|
初診料 (カウンセリング・レントゲン撮影・CT撮影・診察) |
紹介状あり | 11,000円 |
紹介状なし | 22,000円 | |
セカンドオピニオン (時間の範囲内で相談を行います。 料金は歯科医師への報告文章作成時間も含めたものとなります。) |
30分 | 17,000円 |
30分~45分 | 28,000円 | |
45分~60分 | 34,000円 | |
VPT(生活歯髄療法) | 55,000円 |
※上記の治療費はすべて税込価格となります。
※根管洗浄・根管貼薬の費用は治療費に含まれます。
※症例によっては別途費用が発生する場合がございます。
※各種文章作成料:10,000円~
※治療費の補償制度はございません。