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根管治療で治らない原因と膿を出す方法

根管治療で治らない原因

次のような症例は、根管治療を行っても治癒が難しいです。

根管の中の消毒が不十分

根管の中の消毒が不十分根管の形状は、歯の根の先で入り組んで分岐しています。ここに細菌が侵入した場合、分岐した先の根管を全部消毒しきれず、細菌が残ってしまうことがあります。
残った細菌が毒素を産生することで、違和感や鈍い痛みを引き起こします。

仮詰めが適切にされていない

仮詰めが適切にされていない治療で根管の中の汚染を取り除けたとしても、次回の治療までに再び根管の中が感染してしまうこともあります。根管を塞ぐ仮の詰め物がきちんと処置されなかった場合、歯と詰め物の隙間から細菌が入ってしまいます。仮の詰め物の厚さが薄い場合は細菌が入るのを防げないため、厚さを最低でも4mmにして、歯との間に隙間ができないように仮詰めを行わなければいけません。熱で溶かすゴムの詰め物であるストッピングは、密封力がかなり低いことが判明しているため、これを用いると失敗しやすくなります。

パーフォレーションが起きている

歯を削る場所を間違って、骨の方まで穴があいてしまう状態をパーフォレーションと呼びます。そこに細菌が感染した場合、細菌が容易に骨まで侵入し、治療が難しくなります。

歯の根が割れている(歯根破折)

歯の根が割れている(歯根破折)根管治療をした歯は神経がないため、弱く壊れやすいです。一般的に歯の根が割れているケースでは抜歯が必要ですが、大臼歯などの歯の根が何本もある歯では、割れた部分だけを抜歯して治療できる場合もあります。
歯ぎしりや強く嚙み合わせる癖、硬い物を噛んだときなど、神経のない壊れやすい歯に強い圧力がかかると歯の根が割れてしまいます。歯にぐらつきや出血、腫脹、痛みなどが起きていれば歯根破折の可能性が高いですが、肉眼やCT検査で判断できない場合もあります。

根尖孔外感染

根尖孔外感染は、根管の中の感染が外部にまで影響を及ぼしている疾患です。
根管の中を殺菌し続けても改善は難しいため、感染した組織を外科手術で取り除かなければいけません。

歯根嚢胞(しこんのうほう)

虫歯の悪化により歯髄が感染し、歯の根の先まで感染が到達した場合、根尖性歯周炎が起こることがあります。根尖性歯周炎が長期間続いた場合、歯根嚢胞が生じる場合があります。
歯根嚢胞は、根管治療によって完治する場合もありますが、改善が乏しいケースでは外科的に嚢胞を取り除くことを検討します。

歯根肉芽腫(しこんにくげしゅ)

根尖性歯周炎を放っていた場合、膿が吸収され繊維組織が過剰に作られ、歯根肉芽腫が生じます。少し普段と違う感覚があるものの、痛みは感じません。

根管治療で治らない・膿を出す方法

ご自分の歯を長く使うためには歯根(歯の根)が1番大切です。
したがって、歯の根を処置する根管治療は、歯を残すために非常に重要な治療です。
しかし、日本では根管治療が成功する確率は30~50%程度です。
完治しなかった場合は何回でも再治療をすれば済むと思っている方も多いですが、再治療を繰り返すほど根管治療が成功率は低くなります。

非外科的歯内療法(根管治療)

根管治療根管内は非常に入り組んだ形状をしているため、根管治療で歯の根の周囲にある膿を処置する場合、マイクロスコープとCT画像を用いて根管内をくまなく浄化、殺菌しなければいけません。また、治療中に根管に細菌が侵入するのを防ぐためにラバーダム防湿が必要です。
マイクロスコープを用いると、暗くて狭小な患部を明るく照射し、肉眼の30倍に拡大して確認できるため、根管治療が失敗する要因となるイスムスや根管内部の神経の残骸などの汚れを見落としにくくなります。
CT画像は、複雑な根管を3次元で確認できるため、根管浄化の際に細菌感染が残りそうな場所や、歯根に隠れた狭小な根管の存在など、治療前に注意点を認識することによって、治療中の見落としを極力少なくでき、根管治療がかなり成功しやすくなります。

外科的歯内療法(歯根端切除術)

外科的歯内療法(歯根端切除術)これまで述べた方法で治らない場合は、根管(歯根の中)ではなく歯根の周囲(歯根の外側)に細菌が広がっている可能性があり、一般的な根管治療では治癒できません。このようなケースでは歯根端切除術を行います。細菌が広がった歯根の先(根尖)の感染部分を外科手術で取り除いて、MTAセメントで切除した歯の根の先を密封し、根の先の膿でできた袋も取り除いて歯を残します。
ただし、歯根端切除術の後、一時的に歯茎の腫脹や膿がなくなっても、再度膿む可能性があります。
歯根端切除術を上手くいかせるためには、治療前に根管がしっかり消毒や殺菌がされていることが必須です。手術前に根管の消毒や殺菌が十分にされていなければ、歯根端切除術を行っても再び根管内で細菌感染を起こし、膿んでしまう可能性があります。また、歯根端切除術は外科手術であるため、処置による傷が切開線の痕(瘢痕)になって残る場合もあります。特に、前歯の歯茎の瘢痕は目立ちやすいため心配される方もいらっしゃいます。

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