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歯の神経の役割とは?
痛み・刺激を伝える
神経は、歯に何らかの問題・外からのダメージを受けると、「痛み」として知らせてくれる機能があります。
この働きにより、虫歯になると飲み物や食べ物がしみたり、痛みを感じたりします。
また、神経があることで食べ物などの温度も分かります。
歯に栄養を届ける
歯の象牙質にミネラルやカルシウムなどの栄養を届ける際に、リンパ管や血管を通ります。
神経がある歯はしっかり栄養が運ばれてくるため、健康的で輝きもあり、歯質も強くなります。
細菌から守る
細菌が外部から侵入しようとしても、リンパ液や血液の流れによって阻止されます。
このように、歯髄(歯の内部の血管や神経が存在する組織)は免疫反応によって歯を保護しています。
神経を抜くデメリット
歯が割れたり折れたりしやすくなる
抜髄によって歯髄を取り除いた歯のことを「無髄歯」と呼びます。
歯髄は血管を通じて歯に水分や栄養が運ばれるため、血管がなくなった無髄歯では栄養が届かなくなり、代謝能力を失って壊れやすくなります。
硬い物を噛んだ時や外から強い力が加わった時、強く噛み締めた時には、無髄歯は歯髄のある歯と比べて簡単に損傷してしまいます。根管治療をした歯を失う可能性は、奥歯で7.4倍、前歯で1.8倍高まるとも言われています。
歯が変色することがある
抜髄すると歯の色が黒色や茶色に変わってしまうことがあります。
抜髄で血管を除去したことによって、歯の代謝がなくなることが一因だと言われています。歯の代謝がなくなると、変性した歯の一部が象牙細管という歯の中の管に溜まり、時間が経つにつれて色が変わります。
色が変わった歯は、通常のブラッシングなどでは元に戻らないので、白くするには専門の治療が必要です。
痛みを感じず異変に気づけなくなる
抜髄すると痛みを感じなくなりますが、逆にそれがデメリットになることもあります。
例えば、歯に問題が生じても、痛みがないためご自身では気づけなくなります。
そのため、抜髄をした場合は、歯科医院で定期的なメンテナンスや検診を受けましょう。
再治療が必要になるケースが多い
治療法や状況によりますが、抜髄をした後で根管治療をもう一度実施しなければいけない場合もあります。
抜髄の処置は、歯の根の中にあるとても小さな隙間で行います。歯髄は0.5mm程度しか外から確認することができず、肉眼では見えません。
さらに、保険診療では機器や時間に制約があるため、根管の中に汚れを取り残したり傷つけたりして、再治療をせざるを得ないことが少なくありません。最初の治療で確実な抜髄をすることが、再治療のリスクを下げるために重要です。
歯の神経を残す治療「歯髄保存療法」
歯髄保存療法は、感染した神経のみを部分的に除去して、健康な神経を残す治療です。
根管治療と似ていますが、根管治療は原則として神経を全部除去します。
歯髄保存療法と根管治療は、健康な部分を残すか、すべて除去するかという点で異なります。
歯の神経を残す治療のメリット
根管治療(歯の根の治療)を回避できる
虫歯が神経にまで及んでいた場合、一般的には神経を取り除く治療をしなければいけません。
しかし、歯の根の中は非常に複雑な形をしているため、ライトでも明るくしにくく、目視で治療するのが非常に難しいです。根管治療は特に高度なテクニックを必要とし、治療後の歯の状態を考慮すると、できれば行いたくない治療です。
そのため、まずは比較的難易度の低い歯髄温存療法によって治療できないかを検討します。
虫歯に侵されていない健全な組織を温存できる
根管治療では、歯の根に向かってに器具を入れるために、やむを得ず虫歯の上にある健康な歯も削る場合があります。
歯の健康な部分をできるだけたくさん残すことが、その歯の強さを左右します。
歯髄温存療法によって根管治療を避け、できるだけ歯を削らずに治療を進めることで、その後も歯の強さを保てるように目指します。
歯の寿命をできるだけ延ばすことができる
治療で神経を除去する場合、歯に栄養を届ける血管も一緒に取り除きます。
そのため、歯に栄養が運ばれなくなり、時間が経つにつれて歯が壊れやすくなります。
根管治療後、残っている歯の量次第では土台として根の中に芯棒を作り、それに被せ物をするのが一般的です。
この芯棒により強い力が与えられ、弱くなった歯の根が壊れてしまう場合があり、抜歯が必要になるケースもあります。
歯髄温存療法では治療後の歯がより健全に保たれ、歯を長く残せます。